怒り・イライラの下に隠されている、本当の気持ちは

2025年10月25日

怒りの下に隠れている、本当の気持ちを見つめてみよう

ヨガに大切にしているものに、「非暴力」があります。

暴力とは、肉体的なことだけではなく、精神的、言葉で傷つけるのも含まれます。
他人だけでなく、自分にもしてはいけません。

今回お伝えするのは、
マントラ(音のヨガ)を学ぶ過程で知った、コミュニケーション法「NVC(非暴力コミュニケーション・共感的コミュニケーション)」です。

私たちは日常の中で、
「なんであんな言い方するの?」
「どうしてわかってくれないの?」
と、イライラしたり、怒ってしまうことがあります。

でも実は――
怒りは、あなたの中にある「大切なニーズ(本当の願い)」が満たされていないサインなんです。

NVCで見る“怒り”の正体

NVCでは、感情の奥に「満たされていないニーズ」があると考えます。
怒りはその“二次感情”であり、一次感情(本音)はもっと静かで優しい感情です。

たとえば——
〇子どもが言うことを聞かなくて「イライラ」する。
 本当は「休息したい」「協力してほしい」という願いがある。
〇上司に冷たくされて「ムッ」とする。
 本当は「認められたい」「尊重されたい」「理解してほしい」という思いがある。

大切なのは、なぜその感情がでたこということ。
『私は今、何かが大切なんだ』という心の声に気づくことなんです。

怒りを感じたとき、まず立ち止まってみよう

イライラが湧き上がったら、すぐに相手を責めるのではなく、
自分の中を見つめてみましょう。

呼吸を整えて、静かにこう問いかけます。

「私は今、何が大切で、何が満たされていないんだろう。」

最初はなかなか出てこないかもしれません。
でも、感情の裏にはいつも「守りたいもの」「望んでいるもの」があります。

それに気づくだけで、心は少しずつ穏やかになります。

感情をほどく4つのステップ

  1. 観察する
     →「あの人が〇〇した」という“事実”だけを切り取る。
     (例:「上司がため息をついた」)

  2. 感情を感じる
     →「私はどんな気持ち?」
     (例:「イライラしてる」「悲しい」)

  3. ニーズを見つける
     →「何が大切だった?」
     (例:「理解してほしかった」「感謝されたい」)

  4. リクエストする
     →「こうしてもらえると嬉しい」と具体的に伝える。
     (例:「もしよかったら、~していただけませんか?」)

このプロセスを重ねるほど、
「感情に支配される自分」から「自分のニーズ=本当の私の声を理解できる自分」に変わっていきます。

ただし、最後のリクエストは練習しなければ、相手を怒らせてしまうこともあります。
まずは、自分のニーズ(価値・必要性)を観る練習をしていきましょう。

怒りは「悪者」ではない

怒りを抑えつけるのでも、爆発させるのでもなく、
「その下にある本当の想いを聴く」ことが大切です。

「わかってもらいたい」「大切に思うから」「休みたい」

――それは誰にでもある自然な願いです。

その声に気づいた瞬間、
相手と戦う必要も、自分を責める必要もなくなります。

“本当の自分”とつながる

今回は、怒りをメインにしてお伝えしましたが、喜びも、嬉しさも、悲しみも、あなたの中の“本音”を知らせてくれるメッセンジャー。
そこに気づくことが、心の穏やかさの第一歩です。

これらができれば、自分の大切な価値や必要としているものを、「覆い隠したり」「考えないようにしたり」「重要視しない」と、脇へ押しやってしまうこともありません。

自分が我慢することもありませんし、同時に相手の大切なものに思いを寄せるようになるので、思いやりのある言葉もかけられるようになります。


「共感的コミュニケーション」の学びとヨガ・瞑想の実践は、とても相性が良いです。

呼吸で心を落ち着け、感情を観察し、
「私は本当は何を大切にしているのか?」を見つめていきましょう。