東洋医学の知恵で秋を健やかに過ごす―食事と日常生活

2024年10月20日



    • 東洋医学から見た秋の養生法

1. 潤いを与える食事を心掛ける

秋は「燥」の季節とされ、
乾燥による体調不良が起こりやすい時期です。
この時期は特に肺を潤し、
体内の潤いを保つことが重要です。

特に、以下の食材がおすすめです。

<白い食材>
豆腐、豆乳、大根、レンコン、白菜など
肺を潤し、乾燥を防ぐ効果があります。

秋の果物>
梨、柿、ブドウ、リンゴなど
体に潤いを与えます。

根菜類>
さつまいも、長芋、かぼちゃなど
体を温め、エネルギーを補います。

<たんぱく質>
豚肉、鶏肉、卵、魚(特に鮭)
体力回復や免疫力向上に役立ちます。

<きのこ類>
しいたけ、まいたけ、エノキなど
免疫力を高める効果があります。


調理法ですが、
・温かい料理を中心に
甘味と酸味のバランスを取る
・辛味を少し加える(特に晩秋)
水分を多めに使う調理法(煮込み料理など)

これらの食材を適切に取り入れることで、
肺と大腸の機能を助けます。



【気をつけたい食材】
気をつけたいのが、収斂作用のある食材です。
収斂作用のある食材とは、柿・梨などです。

収斂作用とは、あまり聞きなじみがないかもしれませんが、
引き締めとか、縮めるとか、抑えるの意味があります。

秋は自然界が収斂する季節であり、
同様の作用を持つ食材を摂取することで、
体を季節の変化に適応させやすくなります。

ただし、収斂作用のある食材の多くは
涼性や寒性の性質を持ち、
体を冷やす傾向があるため

・加熱調理をする
・生姜やニンニクなどの温性の食材と組み合わせて摂取する
・食べ過ぎないように適量を守る
ことが大切です。

私事ですが、実は、柿を食べると胃が痛くなります。
もともと胃があまり丈夫ではないせいもあると思います。
収斂作用のある食材は、東洋医学の考え方では、
胃と脾を痛めます。
柿も、干し柿は平気なので、
その辺に理由があるかもしれません。
中華料理も果物に火を通す料理が多いと感じます。

必要以上に怖がることはありませんが、
収斂作用のある食材は適量を守り、
個人の体質に合わせて摂取することが重要です。
特に胃腸が弱い方や冷え性の方は、
これらの食材の摂取に注意が必要です。

2. 呼吸を整える

呼吸は肺の働きを強化する基本的な行為です。
東洋医学では、深い呼吸が「気」を養い、
体全体のバランスを保つとされています。
毎日数分間、深い呼吸を意識的に行うことで、
肺の健康を促進できます。

深い腹式呼吸:
朝の新鮮な空気を取り込み、
肺を活性化させるとともに、
精神を落ち着ける効果もあります。




3. 湿度管理と保湿

乾燥は肌や粘膜にダメージを与えやすく、
肺にも影響を及ぼします。
室内の湿度を適度に保つことが大切です。

  • 加湿器の活用:
    室内の湿度を50~60%に保つことで、
    肺を乾燥から守ります。
  • 皮膚の保湿:
    外出後はしっかりと保湿クリームを使い、
    肌の乾燥を防ぐことも肺を守る一助となります。

4. 軽めの運動で気を巡らせる

秋は気温が下がり、身体が冷えやすくなりますが、
過度な運動は気を消耗してしまうので、
軽めの運動が理想的です。
散歩やヨガなど、穏やかに体を動かすことで、
気血の巡りを良くし、
肺の機能を高めることができます。


5. 気持ちを安定させる

秋は感情的にも
「寂しさ」や「哀しさ」が
強くなる季節と言われています。
これは肺と深く関わりがあり、
肺が弱ると感情が不安定になることもあります。
心を穏やかに保つことが、
肺の健康にもつながります。

  • 瞑想やリラックス時間:
    毎日心を落ち着ける時間を設けることが、
    感情のバランスを整え、
    気の巡りを良くします。



6. 睡眠を大切に

秋は夏に溜まった疲れを癒し、
冬に備える大切な時期です。
早寝早起きを心がけ、十分な休息を取ることで、
身体の自然なリズムを整えることができます。




東洋医学の視点で見た秋の養生法は、
身体と心のバランスを整え、
冬に備えるための重要なステップです。
潤いを与える食事、適度な運動、
そして心を落ち着ける習慣を取り入れることで、
健やかな秋を過ごしましょう。